PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルは、問題の解決やプロセスの改善に役立つ効果的な手法です。
PDCAを正しく実施するためには、いくつかのコツがあります。以下に、PDCAサイクルを成功させるためのコツをご紹介します。
目次
1 クリアな目標設定
PDCAサイクルの最初のステップである計画(Plan)では、明確な目標を設定することが重要です。
目標は具体的で測定可能なものであり、達成基準を設定することが必要です。
具体的には、以下の点に注意しましょう。
- ポイント➀「売上を上げる」は目標にならない
目標は、具体的で測定可能なものである必要があります。例えば、「売上を上げる」という目標は、具体的ではありません。しかし、「売上を10%増やす」という目標は、具体的であり、測定も可能です。
- ポイント②その目標は本当に適切ですか?
目標は、達成可能なものである必要があります。目標があまりにも高すぎると、達成が難しくなり、モチベーションが下がってしまいます。逆に、目標があまりにも低すぎると、成長や改善につながりません。
- ポイント➂期限のない目標は達成しない
目標は、期限を設定する必要があります。期限を設定することで、目標達成までの道筋が見え、モチベーションを維持することができます。
2 チームの参加とコミュニケーション
PDCAサイクルは、単独で行うのではなく、チームとの協力が重要です。
関係者を巻き込み、意見やアイデアを共有することで、より多くの視点や知識を得ることができます。
また、進捗状況や課題についての定期的なコミュニケーションを行うことも大切です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- ポイント➀主従関係で責任を明確に
関係者の役割と責任を明確にします。
物事を行なう際には必ず、「主」と「従」の関係が存在します。誰が主となって責任を持って行動するのか、最低限決めておきましょう。
- ポイント➁課題を素早く見つける仕組みづくりを
定期的に進捗状況を共有し、課題があればすぐに解決策を検討します。
PDCAの進捗確認は、「見える化」が必要不可欠です。BIツール等を用いて「誰が」「今」「どんな状況なのか」を把握できるようにしましょう。
- ポイント➂属人化はPDCAの大敵
チームメンバーの意見やアイデアを尊重し、積極的に共有してもらいます。
特に、属人化している作業やルーティーン業務などは意見を出し合って、最短且つ最高のクオリティが出せるように事例を共有しあいましょう。
3 データの収集と分析
PDCAサイクルの中でも、特に重要なステップがチェック(Check)です。
問題の分析や改善策の検討には、正確なデータが必要です。
データを収集し、客観的に分析することで、問題の本質や改善のためのポイントを把握することができます。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- ポイント➀必要なデータだけ収集しよう
収集するデータは、問題の分析に必要なものでなければなりません。当初に決めた目標の進捗がきちんと追えるデータを用意しておきましょう。また、その必要なデータがいつでも、簡単に分析できるように準備しておきましょう。
- ポイント➁データの収集方法は明確に
データは、正確に収集し、分析する必要があります。目標を決めるときに、データの収集方法、集計期間、蓄積場所を明確にしておきましょう。
- ポイント➂課題を見つけやすい仕組みを作ろう
データは、視覚的にわかりやすく表示する必要があります。BIツール等を用いて把握できるようにしましょう。
4 小さなステップでの実施
PDCAサイクルを成功させるためには、大きな変化や改善を一度に行おうとせず、小さなステップで進めることが有効です。
小さな変更を実施し、その結果を評価することで、より具体的な改善策を見つけることができます。
また、小さなステップで進めることで、リスクや影響を最小限に抑えることもできます。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- ポイント➀クイックに改善できる施策を
改善策は、小さく、実行しやすいものである必要があります。特に期中に行なう改善策は、クイックに成果を上げる、改善することを目的として改善策を練りましょう。
- ポイント➁効果の検証は早めに
改善策の実施後、すぐに効果を検証します。「3 データの収集と分析」で見てきたように、見える化の仕組みづくりをしておきましょう。このサイクルが早ければ早いほど、目標達成への近道となります。
- ポイント➂改善策の見直し
効果がなければ、すぐに改善策を修正します。即効性のない施策は、長期的にも成果を見込めないため、現状にとらわれず素早く次の改善策を試していきましょう。
5 継続的な改善の文化
PDCAサイクルは、一度行ったら終わりではありません。
継続的な改善を行うためには、PDCAのサイクルを繰り返し行い、その結果を反映させる文化を築くことが重要です。
組織全体でPDCAサイクルを理解し、活用することで、持続的な改善が可能となります。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- ポイント➀組織の目標と連動
PDCAサイクルを組織の目標と連動させます。おススメなのは、賞与・給与の評価項目に組み入れることです。おのずと意識して目標を達成しようとする機運が上がります。
- ポイント➁徹底的な振り返りを
PDCAサイクルを実施した結果を評価し、改善策を検討します。振り返る際は、チーム全体で行なって、課題について徹底的に議論をすることで、組織のベクトルが揃って次のアクションに向かうことができます。
PDCAサイクルは、効果的な問題解決やプロセス改善の手法ですが、単純にサイクルを回すだけでは意味がありません。
上記のコツを守りながら、PDCAを実践し、持続的な改善を実現していきましょう。
2012年の「これだけ!PDCA」(すばる舎リンケージ)を皮切りに、2014年「PDCAが面白いほどできる本」(KADOKAWA)、2016年「PDCAの教科書」(マイナビ)、2017年「マンガでやさしくわかるPDCA」(日本能率協会マネジメントセンター)、2018年はPDCAをテーマとした5冊目の本として「最強のPDCA」(ナツメ社)を出版。
「PDCAを回せる組織はすべからく成長できる」という持論のもとに作り上げた『PDCA浸透プログラム』は、「PDCAを回せない」個々の企業がそれぞれ抱えている問題の本質に正確に切り込んでいくプロセスを特長としており、企業規模、業種業態を問わず、様々な企業に採用されている。