こんにちは、D課長です!
毎年、営業戦略を立て、方針発表しているにもかかわらず、「ウチの会社には戦略がない」なんて言葉が社内に上がってはないでしょうか。
そこで、この記事では、経営陣と現場で発生してしまう認識GAPのメカニズムを解説していきます。
この記事は、次のような人におすすめです!
・戦略を落としこみたいけど、現場の理解が得られない
・何度も戦略を伝えているけど、理解してもらえず困っている
・なかなか、新たな取り組みが進まない
この記事を読んで、戦略の落とし込み方について理解し、企業運営、チーム運営に活かしていきましょう!
それではどうぞ!
目次
- 「トップは戦略を示しているつもりなのに、戦略を示されてないという現場」
- 短期間で成果を出す方策にしか目がいかない
- 目標達成と新規開拓は全く別の話?
- 時間配分まで指示しないと現場は理解しない
- まずは、優先施策のスケジュールを立てる
- 優先施策を進めるためには、今の仕事の効率化が必要
- 戦略を落とし込むために、まずは現状の時間配分を見える化
- まとめ
「トップは戦略を示しているつもりなのに、戦略を示されてないという現場」
「年間の目標予算は一方的に会社から降りてくるだけで、ウチのトップは現場の意見など全く耳を貸そうとはしないんです・・・」
「目標は必達だ!細かいことはいいから、とにかく数字(売上)を上げろの号令一本槍で、そもそもウチの会社には戦略が無いんですよ・・・」
これまでにお付き合いさせていただいたクライアント先には、専門商社、住宅、リフォーム、自動車等々、営業部門の強化を主としたコンサルティングからスタートした企業も少なくありませんが、まずは現場の意見を聞いた上で問題点を整理するという主旨で営業担当にインタビューをすると、かなりの確率で冒頭のコメントが出てきます。
「まさかそんなことは無いだろうけど・・・」と、念の為、営業本部長や場合によっては社長の話を聞いてみると、
「今期は特に新規開拓に注力しようという方針を打ち出していますので、ターゲットについても各グループごとに注力セグメントを伝えているはずです」
「新しく発売される新商品の拡販を最重点テーマとして掲げているので、まずは既存顧客への全数コミュニケーションを指示しているところです」
といった類のことは当然掲げているわけです。
「トップは戦略を示しているつもりなのに、戦略を示されてないという現場」
こういった認識ギャップが起きているのだとしたら、誰もが由々しき問題だと思うでしょう。
注力すべき商品やサービス、あるいは注力すべきエリアや顧客等々、おそらく殆どの企業が何らかのメッセージを打ち出している、にも関わらず、現場を任されている営業担当の多くは「ウチの会社には戦略が無い」と思ってしまう、その理由を考えてみましょう。
短期間で成果を出す方策にしか目がいかない
まず、日々現場で戦っている営業担当は、モノを見る視点が目の前のことにフォーカスしてしまいがちで、
「数字(売上)になるのであれば、何を売っても良いし、どこに売っても良い」
という考えに陥ってしまいがちです。
なぜかと言うと営業の現場は、
時間軸に置き換えると1週間単位あるいは1ヶ月単位でマネジメントされている場合が殆どなので、時間をかけて取り組まなければ成果が出ないだろうと考えてしまうような方策に関しては、体が受けつけない(取り組もうにも時間が無いと思う)わけです。
例えば、「新規開拓に注力して顧客数を増やさなければならない」ことは、理屈では十分理解しているのですが、一方で、「新規開拓は難易度の高い業務で成果が読めない」ことも体感的にわかっているため、「やらなければいけないと思っているけどやれない」という意識になってしまうのです。
目標達成と新規開拓は全く別の話?
「目標を達成しろ!」という指示と「新規を開拓しろ!」という指示は、その指示を出している側としては、新規開拓することで目標も達成するのだから同じ話だという理解で指示を出しているのだと思いますが、現場の営業担当にとってみれば、どちらかを選択すればどちらかはできなくなる、つまり、全く異なる話になってしまっているわけです。
そうなると、当然のことながら、目標を達成する(短期的に数字になるイメージがある)方を選択することになるので、新規開拓(すぐに数字にならないイメージがある)は取り組めないということになるのも、いわば必然ですね。
「新規開拓強化」といった方針を出しているけど、「新規開拓が成功する(すぐに数字に繋がる)ようなイメージの持てるような作戦は何も無いじゃないか」と、営業担当は思っているわけで、その認識が「ウチの会社には戦略が無い」というコメントに繋がっているのです。
時間配分まで指示しないと現場は理解しない
トップと現場との間に、このような認識ギャップが存在することを考慮すると、営業担当が仕事をする時間配分まで落とし込んで指示を出すことが出来ない限り、戦略があるとはとても言えないのではないでしょうか。
新規開拓強化を、しっかりと行動に落とし込むことを考えるのであれば、まず新規開拓の為に行動する時間を先にスケジュール化させることです。
なぜならば、一般的な営業担当は
「既存顧客のフォローをまず優先してスケジュール化した上で、余った時間ができれば新規開拓をしよう」
などと考えてしまいがちですが、その考え方では、結果として時間が余るような状況にはならずに、新規開拓は行われないからです。
まずは、優先施策のスケジュールを立てる
よって、新規開拓に必要な時間を優先的にスケジュール化して、余った時間をこれまでの既存客フォローにあてる位のイメージで指示をしなければならないわけです。
営業担当からは「これまでよりも、既存顧客に使える時間が少なくなるわけで、当社としては既存顧客の取引が減少しても、新規顧客の方が大切だということですよね」といった反論が必ず出てくるかと思います。
優先施策を進めるためには、今の仕事の効率化が必要
その段階で、営業担当にはしっかりと説明して下さい。
既存顧客に使う時間は当然減るわけだから、いかに効率的に既存顧客の数字を維持するのかが重要なのです。
「取引額等を考慮した顧客ランクに応じて、訪問、電話、メールといったフォロー手段を効率的に使い分ける」ことを根本的に見直すことで、これまでいかに効率の悪い動き方をしていたのかが見えてくる可能性は高いです。
場合によっては、営業担当が行っていた業務を、管理部門や事務スタッフに移管するような施策を展開することも検討すべきでしょう。
戦略を落とし込むために、まずは現状の時間配分を見える化
決して営業担当任せにはしていない、必要に応じて会社全体で仕組み化する、といったところまで示すことができれば「ウチの会社は戦略的だ」という認識に変わるはずです。
トップが考える自社の戦略には、ヒト、モノ、カネの資源配分がつきものだと思いますが、営業担当に営業戦略を落とし込む上では、時間配分を考慮することが必要不可欠です。
まずは、現状の時間配分を見える化することから始めてみて下さい。
まとめ
以上、経営陣と現場で発生してしまう認識GAPのメカニズムと戦略を落とし込むために考えるべきことの解説でした!
2012年の「これだけ!PDCA」(すばる舎リンケージ)を皮切りに、2014年「PDCAが面白いほどできる本」(KADOKAWA)、2016年「PDCAの教科書」(マイナビ)、2017年「マンガでやさしくわかるPDCA」(日本能率協会マネジメントセンター)、2018年はPDCAをテーマとした5冊目の本として「最強のPDCA」(ナツメ社)を出版。
「PDCAを回せる組織はすべからく成長できる」という持論のもとに作り上げた『PDCA浸透プログラム』は、「PDCAを回せない」個々の企業がそれぞれ抱えている問題の本質に正確に切り込んでいくプロセスを特長としており、企業規模、業種業態を問わず、様々な企業に採用されている。